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“THMIS mama”~お洒落の小部屋~

読んで楽しや、見て楽しい♪お洒落の小部屋が綴る、ユーモアたっぷりに、笑って過ごせる「生活応援情報」ダイエット・エステ・ファッション・社会・ビジネスと、トコトン学んで笑って“ハイ!スマイル~~♪

川岸の胸に稲妻。

  1. 2015/01/31(土) 05:34:43_
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「すぐ家族に…。」
医師のその言葉の途中でドアに向かう看護師。

その頃愛子は部屋に飾る花を庭から摘み、
リビングのテーブルの上で花瓶に活けてる最中だった。
そんな時に、花瓶に活けたばかりの花ひとふさが、
ポロリとテーブルの上に落ちる。

「あら…変ねぇ、活けたばかりなのに…。」

そして立花の机の上の電話が鳴る。
「ああ、川岸なら今、席外してるが…。」

その2秒後。

「何――――ッ!!!!」

一気に立花は立ち上がる。
その声に、部署内の社員全員が立花の顔に集中する。

「分かった、すぐに連絡する。」

慌てる立花の姿勢に社員たちも動揺する。
顔面蒼白になった立花が川岸の電話の短縮ボタンを押し、
川岸が携帯に出た途端に、

「川岸―――ッ、病院へ行け―――ッ!」

唐突に携帯から立花のその声を聞き、
その瞬間、川岸の胸に稲妻が突き刺さった如くの衝撃が走った。

「部長…、モコ…。」
「いいから病院へ行け、急げ川岸。」


※※※※※※※※※※※※※

   



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余りに突然。

  1. 2015/01/30(金) 08:12:20_
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歩き進めようと…、ふと何気なく顔をリビングに向けた時に、
そのまま…何故か吸い込まれるように…。

「あら…???」

リビングのテレビの傍にある、
キャビネットの上に飾られている写真が倒れているのだった。

「変ね…風もないのに…???」

それと同時に、基子の病室に飾られている花瓶の花も、
ひとひら、ひとひら散り始め…、
ベッドの中の基子の左腕が布団の上に置かれていた。

丁度基子の病室の廊下を通り掛かった看護師が、
様子を窺いにドアを開けすぐさまナースコールを…。

ナースステーションでは、その基子の部屋のランプが点灯し、
ベルが鳴り、看護師が病室に向かっていた。

看護師の一人、師長が医師を呼び、医師も急いで基子の病室へ。

目はしっかりと閉じられ顔面蒼白、
右に向けたままの顔、そして口からは吐血。
シーツが血の色に染まっていた。

既に脈はなく、心肺停止。手の施しようのない状態だった。

つい1時間前の巡視では看護師には笑顔で、
「おはよう」の挨拶をしていた基子であった。
それが…、余りに突然に…。


※※※※※※※※※※※※※

   




俺に残してくれた…遺産。

  1. 2015/01/29(木) 12:28:28_
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「琴ちゃん、やっぱり…それか…???」
「うん、琴これだ~いすき~!」

と、お昼のご飯を食べようと入ったレストランで、
琴美は大好きなパフェを食べながら…。

「言い出したら聞かないんだから…もう…。」
「はは…。でも、天気に恵まれましたね、今日は…。」

「ほんとよね~!栄二も喜んでるわ、川ちゃんが自分の後継者になって…。」
「俺なんて、まだまだ…、栄さんにはてんで及ばないけど…。でも、何だか…やれそうな気がしてきたんです。…と、言うより…やんなきゃって…。それが…栄さんの、俺に残してくれた…遺産なのかな…、って思えちゃって…。」

少し照れたように、そんな風に話す川岸の顔を愛子は、
穏やかに見つめるのだった。


川岸新課長が誕生して、新谷栄二が培っていたノウハウもそのまま継承され…、
いや…それ以上に川岸の若さと栄二とも少し異なる人となりが、
部署全体の雰囲気と併せ持って、厳しさなりにも、
中にフレンドリーなエッセンスを隠れ持ちながら、
スムーズに事が運んで行った。

愛子も琴美を玄関先から「気を付けてね。」
そして台所に向かおうと…。


※※※※※※※※※※※※※

   




川じぃと一緒に。

  1. 2015/01/28(水) 05:44:19_
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墓前で腰を下ろし手を合わせている川岸のとなりに、
ひょこんと一緒に並ぶように琴美が…、
「琴も川じぃと一緒に手を合わせるもん。」
「ハッハッハ~そうか~琴ちゃん、一緒にやってくれるかぁ、ありがとうなぁ。」

「うん、川じぃ、おいしいものいっぱい琴にくれるから…。」
「あれ~それじゃ~ま~た琴ちゃんに持ってこなきゃいけなくなった~ハッハッハ~!」

「アハハハ。」

そんな2人の無邪気な会話を聞きながら愛子はも、
自然に笑顔がこぼれるのだった。

「琴~川ちゃんに邪魔しちゃだ~め!」
「大丈夫、川じぃ、琴のこと…だ~いすきだもんね~???」

川岸の顔を覗き込みながら琴美…。
「ん~???そうか…琴ちゃん川じぃのこと、だ~いすきか???じゃ、何かご褒美しなきゃあな~ん~???」
「琴~、それに川ちゃんも~調子に乗っちゃって~んもう~!」

「はっはっは~!だ~いすきか~こいつはいいな~ははは!」

そう言いながらも琴美を右肩に肩車するようにして、
「じゃ琴ちゃん、これから何食べよっか???」


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課長昇進の報告。

  1. 2015/01/27(火) 05:34:58_
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「琴~そんなに急いじゃ転んじゃう~!全く~!」
「元気で何より、なぁ琴ちゃん。」

「ママも~川じぃも早く、早く~!パパ、パパ~!」
「そんなに急がなくっても、パパはちゃ~んと待っててくれてるって~!」

栄二の墓前に川岸の課長昇進の報告である。

都会で墓を持つと言う事はそう簡単ではない。
その多くは建物中に墓を設けると言うケースもある。
だが新谷栄二の場合、昔ながらの寺にある叔父の健三郎の墓の趣に惚れ込み、
どうせ、都会で自分の墓が建物の中の小さな空間にあるよりは、
大空の下、尊敬する叔父健三郎と共に…。
と言う思いで、生前からその意思を叔父に伝えており、
健三郎もその意思を快く受け入れたのであった。

墓を綺麗にして清め、あらためて線香と花などを供え、
墓石の上から栄二の好きなブランデーを注ぎ、
手を合わせ栄二に課長昇進の報告。

「栄さん、事の成り行きで、俺…栄さんの跡…引き継ぐことになったんだ。見守ってくれるか…。」


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へっへ~綺麗でしょ。

  1. 2015/01/26(月) 05:57:31_
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「お疲れ~っす。愛さ~ん!」
「外よ~!」

外回りの途中で新谷家に立ち寄り、
自分で直に愛子に昇進報告をしようと考えていた。

良い天気の太陽が気持ち良い午前に、
愛子は庭で花々の手入れをしていた。

「はいお疲れさん、川ちゃん。へっへ~綺麗でしょ。」

以前から育てて、綺麗に咲き誇った花を川岸に見せながら…。
「全く愛さん…、手入れ…見事なもんですね。」

腰を下ろしながら、咲いている花を見て、
「愛さん、俺…実は…、栄さん…引き継ぐ事になっちゃった…。」
「えっ…、それって~???もしかして…。」

「はは…俺には到底無理だと思ってたんだけど…、課長に…なっちゃった…。」
「へっ…うっそ…、そうなの…はは…凄~い!はは…やったじゃな~い。おめでとう~!」

「愛さんには直に報告しようと思って…。」
「はは…ありがとう~嬉しい~素敵~!あ~んもう…良かった~!栄二も喜ぶ~!最高よ~!」

後ろ髪を右手で掻きながら川岸…、
「へへ…まぁ…。」


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新課長誕生。

  1. 2015/01/25(日) 05:35:44_
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 「…ん…???そうだな…、あったりまえの事だな~はは、はははは…。」
この時、基子は自分の夫の顔を見て、
そして、その笑顔を見て、涙が出るほどに嬉しかった。
そして、心の中で…、

「この人がいるだけで、私はしあわせ…。」
そう感じるのだった。
…そして…、そう思った、
「早くまた…2人の生活に…戻りたい…。」と…。


「辞令、川岸利信。本日付けにて、建築事業本部 営業4部課長とする。」
「よぉ~ほっほっほ~っ!やったぜ川岸~!」
「おめでとう川岸く~ん。」

「部長、ありがとうございます。」
「俺じゃねぇよ、みんなだよ。ほれ…。」

そう言いながら、部署のみんなに挨拶しろ、と、首を振る立花。
立花の顔に向けていた体を回れ右にして、
「みんな~ありがとう~!こんなとんでもない役目、…けど…、何とかやってみる。俺に…力…貸してくれ。よろしく頼む。」

「よ~し、やったろうじゃない~なぁ~か・わ・ぎ・し~!」

川岸新課長の誕生である。


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一瞬の川岸の閃き。

  1. 2015/01/24(土) 06:40:46_
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「へぇ~!なんだか…、いつになく綺麗な花だね。」
「うん。栄さん…。」

「えっ…、栄さん…???」
「もう…栄さんに…逢えない。だから、この花が…栄さん…って、愛姉ぇが…。」

「……。」
「…トシ…???」

「…ん…???あっ、いや…。モコ…、俺…守んなきゃ…。」
「…えっ???」

「…ん…、何だかさ、今回の事で、俺自身、全く見当もつかない事に次から次へと…。」
「…うん。」

「…で、気付いたらこんなんで…。でも…こんなんでも…、みんなが…。」
「みんなが…???」

「…うん…。なんて言うのかな…。みんなが…俺の事…。…へへ…。」

一瞬でも、川岸が今、頭の中で感じた事が…、閃いた事が…。
言葉には表せなくとも、基子は…。
「何…その笑い…???」
「…ん…???俺なぁモコ…。」

「うん…、何…???」
「お前をここから絶対に出す。そして、また一緒に暮らす。」
「…はっ…???」

「…はっ???って、お前…???」
「…トシ~???それって~あったりまえの事でしょう~!」


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わたし…すっごく嬉しい。

  1. 2015/01/23(金) 10:42:48_
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「えっ、ほんと!すっご~い。おめでとうトシ~!…コホッ、コホッ。」
「おい、モコ…大丈夫か~???」

先だって、愛子と琴美が見舞に訪れ、
そして帰った後から基子の咳が目立っていた。

そして、少し倦怠感も生じていた。

「…ん…、大丈夫、これくらい…。」
「何だか…この前見た時より、顔色が…???」

「だ~いじょうぶよ~!トシったら~心配性なんだから~!それより…。」

そう言いながら、両腕を広げて川岸を招き入れる。
そんな基子を抱き締めて川岸は、
「まさかな…、俺が栄さんの跡を引き継ぐなんてな…。」

夫のぬくもりを感じながら、
「…今、わたし…すっごく嬉しい。」

そう言いながら、夫の背中に回した右手で、
夫の背中をパンパンと叩いて、
「トシならやれるよ。わたし…信じてるから…。」
「そうか~俺…大丈夫かな~???」

「大丈夫、大丈夫、わたしがついてるよ。」
「…だな…。…ん…???あっ、花…!」

基子の肩越しに花瓶に飾られている花を見て、
「綺麗だ~!」
「うん、愛姉ぇから…。」


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船の舵取りは…。

  1. 2015/01/22(木) 09:27:33_
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「いい感じっすねぇ。」
と、川岸。

「あぁ、さすがに課長の仕事だ。確かに最悪な事故だったんだがな。でもそんな事があった現場とは思えないほど、しっかりと進んでる。」

そんな古川の言葉を聞きながら、川岸も、
「ああ、全くだ、これなら行ける。」

現場を隅々まで巡視し、事務所で状況を確認する。

「川…、課長の穴は本当にでかい。けど…、これって~もしかしたら、課長が俺たちに残してくれたでかい仕事かも知んねぇな。」
「う~ん。」

そして川岸の背中を右手でド~ンと叩いて、
「やったろうじゃない~な~船長~はっはっは~!」
「せ~んぱ~い。それに、俺…船長じゃねぇし…。」

「ば~か。お前以外に誰がいるってんだよ~!お前だからみんなも喜んでんだよ~着いて行きてぇ~んだよ~!一緒にいてぇ~んだよ。これから船の舵取りはおめぇだよ。あとは俺たちに任せとけ、盛り上げてやっからよ。はは…。」
と、川岸の尻を叩きながら古川…。

「…やるっきゃねぇか…。」
と、ポツリ。


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一大事業の一つ。

  1. 2015/01/21(水) 05:43:41_
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「お…、おう…。」

先日、事故の起きた現場である。
今や既に、あの時の状況は何処へやら…、
そんな…何事もなかったような現場となっていた。

実際、事故は事故として処理はされたが、
その後、すぐにあらゆる角度からの検証、
そして原因とその対策がそれぞれ掲げられ、議題にも上げられ、
または関わり合った家族との事、他にもお役所関係などと、
ありとあらゆるしがらみを一つずつ、解決。

…しかし、まだその全面解決までは漕ぎ着けてはいないものの、
建築工事は、クライアントの希望のまま、順調に事が進んでいた。

何故なら、ここの建築工事は、今後の会社を更に業績向上にするための、
一大事業の一つだったのである。

その一大事業を長年の付き合いを買われて栄二が畑違いではあったが、
営業から工事の全般に至って、クライアントから契約まで介入させられた受注だったのだ。

ある意味では、新谷栄二だからこそ、
成し遂げられた受注だったのである。


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大サ~ビスしちゃうからね~!

  1. 2015/01/20(火) 05:38:11_
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その粕谷の声に、粕谷の向かいの宴会部長の佐伯も、
「あっ、そっか…、だよな~!じゃ恵美ちゃん、いつも通り、頼める???」
「ほいほい、承りました~!」

「…って、お~い、まだ早ぇ~だろ…???」
と、川岸…。

「ははは…、いいの、いいのお前は、黙って雛壇に座っとれ~!はは…。」
と、佐伯。

「川ちゃ~ん、しっかりと、まっかせなさ~い、大サ~ビスしちゃうからね~!」
と、もう話題満載にノリノリになっている粕谷。

…と、言うのもそのはずである。
粕谷恵美子の旦那が、良く使う居酒屋の店長なのである。

その意味でも、部署内で何かの歓送迎会や、
他のグループでの会合などでは常連の店なのである。

他にも、会社の幹部たちもこぞって利用している店でもあり、
味も好評で、中々評判の居酒屋になっている。

まだ早い、とは言ったものの、
同僚たちの自分に対しての思いやりに感謝して、
いつの間にか、顔も少しずつ綻ぶ川岸だった。
そして「か・わ・ぎ・し」と古川が電話の受話器を右手で押さえながら、
「例のトコ、行こ。」


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鶴の一声。

  1. 2015/01/19(月) 05:52:31_
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そんな部署の面々を見ながら立花も、頬杖をつきながら、
「ほ~れみろ。」と言わんばかりにニヤニヤとしながらも、
机の上の書類を手に取り、鶴の一声のように、
「まっ、そういう事だ~頼むぞ~!みんなも~盛り上げてくれ~!」

その言葉に、部署の声も爽やかに、
「ハイ。」「お~い。」「へい。」「お~し。」「よっしゃ~!」

そして、川岸にもガッツだぜのゼスチャーで拳を出し、
「大丈夫だって、みんないるからよ。」

向いにいる女子社員からも、
「川岸君、おめでと。」
それに応えるように川岸…、
「はは…、参ったなこりゃ…。」
と、額を指で掻きながら…。
そして立花の次の声、
「新谷の穴は大きいぞ~ッ!」
「また部長~それ言う~!」

古川のその言葉で、部署内の雰囲気がまた和やかに…。

新谷の机の方を見ながら川岸は…、
「栄さん…、俺…。」

そして、今までの栄二との思い出が、川岸の頭の中に、
あれこれと思い浮かぶのだった。

「ねぇねぇ、佐伯君、じゃああ~川岸君の昇進祝いしなくっちゃね。」
と、斜め向かいの粕谷恵美子。


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俺…そんなに…。

  1. 2015/01/18(日) 10:25:00_
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「だから~諦めて、今度から~そこ、座れ~!」
「…って…言われても…。参ったな…。」

突然の事の状況に何をどうすれば良いのか…、と言うより…、
一瞬、川岸の頭に過ったのが…、
「なんで俺…???」

「近々辞令が出る~まぁ~とにかく~やれ!」

喜ぶと言うより、いきなりの成り行き上、覇気のない声で立花に…、
「分かりました。」
とだけ、応え自分の席に向かう川岸に…、

「川さん、よっしゃ~!」
「川岸さん、やったね!」
「か・わ・ぎ・し~!」

川岸自身、全く予想だにしていないこの状況下に、
部署の社員の誰もが、川岸に対して、温かい言葉を贈ってくれるのだった…。

それに川岸は…、
「え~ッおいおい…。」
と、これも予想だにしなかった部署の面々を目の当たりにしたのだった。

その中で、川岸より先輩格の一人の古川浩司も、
「川~やったな~頼むぞ~お前~!はっはっは~!」

その言葉に、思いも掛けずに、部署のムードが和やかになったのだった。
人知れず、川岸の胸に…、
「俺…そんなに…、皆…。」


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「ふん、まぁ…そういう事だな…。」

  1. 2015/01/17(土) 05:58:00_
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「そういう…こと…だって…???えっ…???部長…あそこって、課長の席…。」
「そうだよ、課長の席だよ。…そう…。」

「…そう…って、俺が…あの席に…???」
「…うん、そうだよ、お前さんがだ、あの席にだ。」

「えっ…???って…事は…俺が…???」
「ふん、まぁ…そういう事だな…。」

「俺が…か…課長に…???」
「…だよ。」

一気に背筋を伝う汗…。
「…部長…、え~っ、俺…???」
「そう…だよ…何か…???」

「…ん…、いや…、誰かどこかの部署から廻ってくるとばっかり…。」
「うん~にゃ、そういう訳には行かない。こちとら、他の部署の人間に任せられるような仕事ぁ、やっちゃ~いないんでね。そういう意味じゃ~なんだ…、ウチの部署の人間は、俺なんざぁいなくとも、しっかりと~仕事が~出来てる。…じゃあ~ないのかね~君君~川岸く~ん。」

「…んな…事…言ったって、部長…いきなり…。」
「そうだぁ~いきなりだぁ~!実は俺も今さっき取締役から受けたぁ~!」

「うっそ…???」


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「えっ…???俺…???」

  1. 2015/01/16(金) 05:29:20_
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「よっ川岸、調子はどうだ!ん~???大変だったな今回は…。え~???」
「…あっ、いや…。…でも、何とか…滞りなく…。」

川岸の両肩を揉んで、パ~ンと叩いて、
自分のデスクに腰を下ろす部長の立花。

机の上に置いてあるお茶を一口啜り、
両膝を机の上に、そして川岸の顔を見て…。

川岸もそんな立花の顔を見て、立花が左腕を立てて、
人差し指を立て前後に動かす。それを見て川岸が…、
「えっ…???俺…???」

と言うように、右手の人差し指を自分の顔に向けて…。
少し頭を傾げながら立花の机の前に足を進める。

「部長…何か…わたし…???」
「あのな…。川岸な…。」

「はい。」
「こんな事を言うのも…何だが…。」

「えっ…???なんすか…???」
「こんな…時にな…。」

「えっ…、はい。」

きょとんとしている川岸の顔を見ながら、立花が…。
自分の机の前の空のデスクを見て…。

「おまえ…、今度から、あそこ…座れ。」
と、空のデスクを指で差して…。

「へっ…???俺が…ですか…???あそこに…ですか…???」
「ふん。まぁ~そういう事だ…。」


※※※※※※※※※※※※※

   




私の財産なのよ。

  1. 2015/01/15(木) 06:18:09_
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基子…、そんな愛子の顔を見て…、
「……。」
「…ん…???どしたのモコ…???」

「……。愛姉ぇ…強~い。」

基子のそんな言葉を聞いて…、
「…えっ…???バカ…、何言ってんのよ…。はは…、そんな…わけないでしょ。」
「だって…ついこないだ旦那様が亡くなったのに…。」

基子のその言葉を聞いた瞬間、また…じんわりと…瞼に…。
けれども、それを一気に元に引き戻して、
「私には~琴とモコ…あんたがいるし、それに川ちゃんがいる。これって、私の財産なのよ。この大っきな財産がある限り、生きなきゃって、そんな風に感じたの…。その分…思いっ切り泣いたけどね…。」


「栄二もね…、人生の中途半端で逝っちゃったけど、私に…跡を頼むって、言ってるんだって気がするの。」
「愛姉ぇ…。」

「そういう意味じゃぁ、今回…、モコには悪いけど、ちょいと旦那を独占しちゃったけどね…。」
「…ん…???あっ…、そうか…トシね…。どうぞ、どうぞ…幾らでも使って、愛姉ぇの気が済むまで…。」

「…って…、それでいいのぉ…モコ…???」


※※※※※※※※※※※※※

   




出来る事は全部やる。

  1. 2015/01/14(水) 10:37:06_
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「トシが…、とにかく出来る事は全部やるって。」
「うん、そうよね。」

「やりもしないで、後で後悔はしたくない。モコは俺の体の一部でもあるんだから…。」
「……。」

「…ん…???あっ、愛姉ぇ…ごめん…。」
「…ん…???あっ、いや…はは…大丈夫よ、そんな…モコ~!」

両手を合わせて愛子に申し訳なさそうに…。

つい先日、主を亡くした愛子にとって、
愛する人の事を…つまりは…基子自身の「惚気」にも繋がる話を…。
けれども愛子は既に、頭を切り替えていた。

それは既に、自分の身寄り自体も当てには出来なく、
全てが自分に掛かっていると言う現実が、葬儀の日々、
枕を濡らしてまでも泣いた結果、自分に出した答えだった。

強い女ではないのだが、敢えて自分の体を動かし、
様々な事を考える事によって、いろんな方向性も見えてくると言う事に気付いたのだった。

そして、それを気付かせてくれたのが、誰でもない川岸だった。

「モコ…、死んだ人は戻ってはこない。でも、今、生きている人は、その人の分も…。」


※※※※※※※※※※※※※

   




花瓶の花。

  1. 2015/01/13(火) 07:55:18_
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「へっへっへ~でしょう~!な~にモコおばちゃんと内緒話してたの…ん…???」

「ふふ…。琴ちゃんがね、私が毎晩泣いているから、じゃ、琴ちゃんが私と一緒に夜寝てくれるんだって。」
「あ~らまぁ、んじゃあさ、琴…、あんたご飯どうするの…???ここじゃ、大好きなハンバーグ…食べれないよ~!」

「んもう…ママまでそういう事言う。…モコおばちゃん…???寂しくない…???琴がいなくても…???」

何とも健気な事を言う琴美に、基子もついつい可愛いと思い、
涙を流す振りをして、ウソ泣きをして…、
「悲しい…、寂しいけど、仕方ないもの…。」

そんな基子を見ながら愛子も…、
「ようやるわ!」

ポツリとそう言って、また花瓶に生けた花を見て、
「綺麗~」
「うん、ありがと、愛姉ぇ」

「英二ももう来れないからね、その分も…って、思ってね。」

何も言えないで、黙って花瓶の花を見る基子。
「…で、モコ…、どうなの、体の方は…???」
「うん…、今のところは特に…。もしかしたら…、骨髄移植…する方向も…って。」

「そっか…。でも…その方がいいかもね…。治る確率が幾らでもあった方が…。」


※※※※※※※※※※※※※

   




抱き締めて、離さないぞ~!

  1. 2015/01/12(月) 06:32:38_
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「モコおばちゃん、琴美のママやパパや琴美がいない間、ず~っとここにいてたの~???寂しくなかった~???」

琴美が基子のベッドの傍で、基子の手を触りながら、基子に話し掛ける。
「う~ん???寂しかったぞ~!夜なんてね、ず~っと、琴ちゃ~ん、琴ちゃ~んって、泣いてた。涙ボロボロ流して…。」
「キャ、ほ~んと~!じゃ~琴、今日から、モコおばちゃんと一緒に、ここで寝る~!」

「あ~最高にうれしい事言ってくれるのね琴ちゃ~ん、じゃああ、琴ちゃん、抱き締めて、離さないぞ~!」
「う~ん、それは困っちゃう。ご飯食べられなくなっちゃうし…、それから…学校に行けなくなっちゃう。」

「ハハ…それじゃ~だめだな~!ママに怒られちゃうもんね~!」
「うん、ママ怒ると恐いんだよ。」


「琴~ママがいない間に、モコおばさんに何か言ったの…???」
その声に驚いて琴美が後ろを振り向く。

「キャッ、ママ、いたの…???ビックリした~!」
「ママが怒ると恐いって~!」

そう言いながら、活けたばかりの花を琴美の前に突出し、
「いい匂い~!」


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お~ば~ちゃん。

  1. 2015/01/11(日) 05:46:52_
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翌日の午後、学校に寄り琴美を車に乗せて、
そのまま基子が入院している病院へ。

病室のドアを開き、琴美がすぐに、
「お~ば~ちゃん。」
と基子に声を掛けると、その声にすぐに反応して、

「わあ~琴ちゃ~ん、それに愛姉ぇ~!来てくれたんだ~ありがとう~!」
「おばちゃ~んこれ~!」
と、琴美には重そうな果物の籠を基子に見せ、

「一緒に食べよう。」
「そうね、ありがとう、食べよう、食べよう。」

愛子も基子の顔を見て、変わりない顔色に安心してか…。
「モコ…、元気そうじゃない…。」

近くの花屋から買ってきた花束を基子に見せながら。
そんな愛子に基子は…。
「うん、何とかね…。」

そう言葉にした瞬間、少しだけうつむき加減に…、
「トシから聞いた…。…栄さん…。」
「うん、事故… でね。もう…一週間になる。…川ちゃんから電話で、その事を聞いた瞬間…もう…パニクッてたわ…、さすがに私も…。」

花束の花を見ながら、丁度、萎れる一歩手前の花瓶の花を交換する旨、
基子に目配せして、

「花…活けてくるね。」


※※※※※※※※※※※※※

   




よ~し、頼りにしてるよ~!

  1. 2015/01/10(土) 06:31:55_
  2. 友達、恋人、恋愛、結婚、家庭生活
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そんな川岸を見て、後ろの琴美もコップに入ったジュースを手に、
「川じぃ、かんぱ~い。」
「おっ、琴ちゃんも先にやってたか~よし、か~んぱ~い。ひゃ~旨い。」

「やっとここまで来たわね、ありがと、やっぱり川ちゃんいなかったら、私、完璧にアウト。」
「ハハ、こんなことくらい、当たり前でしょうが、愛さん、僕の姉さん的存在なんですから。何でも使って下さいよ。」

「よ~し、頼りにしてるよ~!ってね。ふふ…。」
「そうそう、そんな感じ、それでこそ、愛さん。ハハハ。」

「…でね、明日…琴が学校終わったら、その足でモコに行こうと思ってる、良いかな…???」
「ああ、良いっすよ。…って、言うか、僕の方からもお願いします。あいつ、喜びますよ。2人の事、顔見たがっていたから…。」

「そ、ありがと。じゃああ、明日、午後から行ってみるわ。」
「お願いします。あっ、これ旨い。」

ビールの摘みに出した愛子お手製の酒の肴、
栄二のために作っておいたのだったが、
それが川岸の口に合ったようで、
思わず愛子の顔が綻んだ。

「ふふ…ほんと???」


※※※※※※※※※※※※※

   




ここって何処…???誰…???

  1. 2015/01/09(金) 11:01:21_
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逆に言えば、川岸あっての新谷家と言っても過言ではなかったのである。
そして、その事が、今の愛子には、
「何とか動いていられる。」
と言う、いわば、主の側近中の側近と言う感じだったのである。

「あっ、これ、川ちゃんお願い、私…無理。」
「…ん…???はいはい、これね。新しいトコですからね。愛さんには無理ですねこれは。」

「…と~これも…。ここって何処…???…で、誰…???」
「はい…???あ~これも僕と栄さんしか分からない。これも私がゲットです。」

実際、香典を戴いても、中にはその場で香典返しが間に合わない場合もある。
それが会社関係であれば、愛子にはどうしようもない事になるのだった。

そういう場合は、川岸に頼るしか術はないのだった。
相手に失礼であってはならない。
生前の栄二の言葉でもあった。

ゆっくりゆっくりと整理は進み、
次第に残すは栄二の新谷家の物品処理だけとなって行った。

数日が掛かっていた。

「ほい、川ちゃん、お疲れ様、たま~には冷たいの。」
川岸に缶ビールを手渡し、

「嬉しいっすね~戴きま~す。」


※※※※※※※※※※※※※

   




完璧におばあちゃんみたいに…。

  1. 2015/01/08(木) 08:45:33_
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「さすがに強いや愛さん。普通なら、こんなに動けない。単にボーッとしているだけで…。逆に疲れが出て来るのに…。」
「まっ、どうやら、私の場合は、そんな感じじゃないみたいね。…んんん…、逆にボーッとしてたら、それこそ、もう完璧におばあちゃんみたいになっちゃって、全然動けなくなっちゃうって気がするの。そういう事考えると、今度は琴が気になっちゃってどうしようもなくって…。」

琴美の方に顔を向けて、川岸にそう話し掛ける。
「…そうか~、…だよな~!」

葬儀の後の処理にあれこれ整理しながら、
役所関係やら、その他の事務的な整理も、
まずは下処理をしながら、一つ一つ熟しているのだった。

ある意味では、名義変更までする書類まで出て来る、
一定の期間が必要な場合もあるのである。

それに、葬儀の時のあれこれの整理は、
愛子でも手が付けられないものもある。

それが実際に、直結して川岸の仕事に移るのである。
ある意味では、川岸がいなければ、あれだけの葬儀は執り行えなかったと言う訳だった。


※※※※※※※※※※※※※

   




泣きたいだけ…。

  1. 2015/01/07(水) 08:19:10_
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夕方、玄関のチャイムが鳴る。
愛子の声を待たずに、玄関のドアを開け、
「お疲れ様で~す、愛さ~ん、川で~す。」

もう、殆ど勝手知ったる家でもある。
愛子も、「どうぞ~!」と言う感じで、いつもの事と言うざっくばらんさで、
「川ちゃん、お疲れ様、ごめんね。」
「おっ、琴ちゃん、大人しくテレビ観てるか、これ、ケーキだよ~ん。」
「あ~川じぃ、ありがとう。食べる食べる~!」

「琴~ちゃ~んと手~洗ってね~!」
「ハ~イ」

「愛さん、疲れてない???逢う事ない栄さんの家族と親戚に囲まれてて…。」
「う~ん、疲れてないと言えば、嘘になるけど、そんな事、言ってられないし…。それに、そんなに悲しんでもいられない。」

「それに、もう…泣きたいだけ泣いちゃったみたい。」

実際、この3日間、夜は必ず布団の中で、
琴美には聞かれないように枕を濡らし続けていたのだった。

そして眠りに就いては数時間後にはまた眼を覚まして、
あれこれと思い出が巡り、その都度、声を殺して泣いて、
琴美の寝顔を見て、また再び眠りに就いての繰り返し。

考える事だらけの夜だった。


※※※※※※※※※※※※※

   




張りつめていた空気が…。

  1. 2015/01/06(火) 06:04:02_
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「それじゃ…本当に大変。」
「うん。今日も、あれから病院に奥さんを見舞に行ってたの。」

「そうだったんだぁ。」

特に、それからの慶子からの、先ほどの「彼」と言う言葉の深い話しはなく、
やがてそれぞれが、用意された布団の中で眠りに就いた。

翌日、栄二の実家の家族や親族はお昼過ぎには帰路に立ち、
新谷家は初めて栄二のいない愛子と琴美だけの家となった。

古くからの家で重みのある家。
それでいて落ち着きのある家である。

栄二がいればこそ、その主人がいればこそ、
これだけの家でも、ずっしりとしていて主の諸手に相応しい家でもあった。

それが、栄二を失ってその後…、少しだけ、張りつめていた空気が、
その張りを失ったかのような感じにも思えた。

ただ、空気が少し変わった気がするとは言え、
愛子は、今まで通りの生活をそのまま続けるのであった。
逆に、そういう生活を続けていないと、
自分自身が動けなくなる体になってしまうと、
栄二の家族と別れてから、すぐに気持ちを切り替えたのである。


※※※※※※※※※※※※※

   




任せちゃおうか…。

  1. 2015/01/05(月) 11:09:49_
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「明日、仕事帰りに伺います。私じゃないとわからない事も会社関係でありますから。」
「ごめんねぇ、プライベートまで潰しちゃうみたいで…。」

「とんでもないです。逆に、これは私の仕事でもありますから…。」
「そう言ってもらうと、気が楽…。」

「奥さんは別に気にしないで、家の事に専念していてください。」
「ありがとう…。…じゃ、その辺は川ちゃんに…、任せちゃおうか…。」
最後の方は語調を低くして…。

そんな感じを受け止めて川岸も、
「はい、僕に任せて下さい愛さん。」
「じゃ、おやすみ。」

携帯を閉じて、その時に、ふいに心が少しだけ落ち着いた感じになった。
その時、一瞬…、
「なに…???このふんわりとした感じ…???」

何かが違う。そんな気分を意識しながらも、けれども、現実に引き戻され、
そしてまた、リビング戻る愛子。

愛子の顔を見て慶子が微笑む。
そんな慶子に、
「川岸さんから。」
「ふ~ん。」
と、慶子が頷く。

「川岸さんも今大変なの、奥さんが病院に入院しているのよ。」
「あら…!」


※※※※※※※※※※※※※

   




やがて…低い声で…。

  1. 2015/01/04(日) 06:08:18_
  2. 友達、恋人、恋愛、結婚、家庭生活
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そんな事があってからか、
栄二は基子に会う度に愛想を振りまいてはいても、
心の中ではある種の影を落としてはいた。

けれども、そんな自分の事を一切、
今まで通りの基子の自分への振る舞いを見て…、
だからこそ、基子をある意味では、自分の妻の妹同様として、
可愛がっていたのだった。

基子にはそんな栄二の気持ちが痛い程分かっていた。

「あのとき…、あんな事があったばっかりに…。栄さん…。でも、私もあのときから…栄さん…、好き。なのに…どうして…。」

そして、掛布団を顔までしっかり掛けて…、
やがて、低い声を出して泣くのだった。


「そうだったの、でも、基子、体調は別に、なんともないのね。」
「ええ。何とか、その辺は…、気になっていたんですけど、特になく…。」

「うんうん、ありがと。じゃ、私も落ち着いたら基子に行ってみるわ。私からだって、話しておかなくっちゃ。それに、琴美も基子の事、顔みたがっているし…。」
「すみません、お願いします。」

「今日は本当にお疲れ様、川岸君がいてくれて本当に助かった。まだ、やること残ってるけど…。」


※※※※※※※※※※※※※

   




お互いのフィールドを…。

  1. 2015/01/03(土) 18:15:28_
  2. 友達、恋人、恋愛、結婚、家庭生活
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「お~っと。」
と、思って栄二が基子を支えたのが、
両手が塞がっていた基子の胸だったのである。

基子の胸を支えたままで、体を起こし、
栄二の左手が今度は基子の背中を抱いた姿勢になったのだった。

驚いたのはどちらも同じではあったが、
その時のお互いの表情が、ついお互いのフィールドを外してしまったのだった。

数秒、お互いは唇を合わせていた。
しかも…お互いに拒絶する事なく。

そして、本能のまま栄二は、タンクトップの上から基子の、
綺麗で豊かな胸を愛撫したのだった。

その後、優しく栄二の手を自分の胸から外し、
そして栄二の唇から自分の唇を外し、
「…栄さん…。」

と言いながら顔を横に振ったのだった。

缶ビールを飲み、幾らか酔いが回っているとは言え、
思い掛けない状況に栄二も我に返り、焦りを隠しながらも、
基子に頭を下げるばかりで、その場をやり過ごしてしまったのである。

基子は悪びれる訳でもなく、
逆に栄二に申し訳ないと感じた瞬間だったのだった。

その一回限りのエピソードは栄二と基子の、
頭の片隅に刻まれるものとなったのだった。


※※※※※※※※※※※※※

   




あるエピソード。

  1. 2015/01/02(金) 06:06:28_
  2. 友達、恋人、恋愛、結婚、家庭生活
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暗い病室の中でひとり、目を閉じても中々寝付けない基子。
「栄さん…、もういない…。栄さんの顔…。」

再び瞼に涙が潤み始め、溢れて、また零れる。
「…もしかしたら私…、栄さんを…。」


川岸夫婦と新谷家では、毎年数回はファミリーがらみで余暇を楽しむ。
その中でも夏の野外でのバーベキューは、
キャンプ場にまで赴いて楽しむと言う事にもなるのである。

そのキャンプ場でのあるエピソードが基子には思い出されていた。

あるハプニングが予期しない出来事へと発展したのだった。
4人ともそれぞれがキャンプの準備で動いていた。
男性の方は、開放された自然の中で、
如何にもこれからキャンプの準備と言う気合で、
既に缶ビールを飲みながらの作業をしていた。

そんな時に、自分から薪探しに向かって、
テントに戻ってきた基子が偶然にも何かを探しに、
テントの裏に来ていた栄二とすれ違いざま、
基子が地面に張り出していた樹の根に躓き転びそうになったのだった。

その時に至近距離にいた栄二が倒れる基子を支えた時に…。


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