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“THMIS mama”~お洒落の小部屋~

読んで楽しや、見て楽しい♪お洒落の小部屋が綴る、ユーモアたっぷりに、笑って過ごせる「生活応援情報」ダイエット・エステ・ファッション・社会・ビジネスと、トコトン学んで笑って“ハイ!スマイル~~♪

全く動揺もせずに弓枝。

  1. 2016/06/30(木) 06:39:28_
  2. 友達、恋人、恋愛、結婚、家庭生活
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「えっ!!!!ほんと、大輔、記憶戻った!!!良かった―――――っ。うん。すぐ行く。うんうん、父さんと弥生にも知らせとく。うん。良かった~~。」
と、コチラも目に涙を浮かべて睦美。

そんな中…、病室のドアにノック。
「すみま…せん、楓が…こちらに…。あ~~やっぱり…。」

弓枝である。

「病室にも、リハビリ室にも、外にもいなかったから…、多分…こちらだと…。」

弓枝を見た途端に、政美が、
「おばっさ~~ん。」

「えっ、どうしたの…政美さ…???」
ベッドの傍の楓を見て…。
「楓…大輔君…。へっ…、政美さん…???」

「大輔、記憶、戻りました――――――っ!!!!」
また目に涙を浮かべて、今度は弓枝に抱き付く政美。

「えっ、うそ!!!ほんとに!!!え――――――っ。凄~~い、やった~~~うんうんうんうん。」
ふたりで抱き合いながら、
「で…、お母さん、睦美さんには…???」

涙を拭いながら政美、
「うん。今、電話して伝えた。すぐ来るって。」

「そう~~。良かった~~うん~~。」
そして、ベッドの中の大輔を見て…笑顔で微笑んで…。

楓…、
「母さん…。」

今度は楓が顔を歪めて…、また涙を浮かべて…、流れる涙を拭いながら…、
「私…。」

「うんうん、良かったね~楓…。頑張った。うん。」
楓の顔を撫でて、そして肩を抱いて…。

そして大輔に、
「初めまして、大輔君。楓の母の…、弓枝です。記憶…、戻って…、本当に良かった。うんうん。」

大輔、
「初めまして、おばさん。大輔です。」
そして、照れながら、頭の後ろを掻いて、
「全部…、楓の…お蔭…かな…。」

そして、顔をキリっとして大輔。
「おばさん、俺、…いや僕。楓が好きです。いつも…楓の傍にいたい。付き合って、良いですか!!!」

楓、
「大…。」

政美、
「大…輔…。」

そんな大輔の言葉に…、全く動揺もせずに弓枝。



全く動揺もせずに弓枝。


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両腕を天井に伸ばして。

  1. 2016/06/29(水) 05:23:08_
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「…ごめん…。お邪魔だった…???」
低姿勢で、ベッドの大輔と車椅子に戻った楓を見て政美。

「んんんん…。んん…。政…姉ぇ…。」

楓も…、
「ん…、あっ、いえ…。お邪魔してます。」
真赤な顔をして、両手指で耳に掛かった髪を後ろに掻き上げる。

「ちょ…、ちょっと…私…、出直して…くるわ。ねっ。…はははは…。」
と、ドアに振り返える政美に大輔。
「政姉ぇ!!!」

「ん…、何…???」

「政姉ぇに、紹介する。」
「えっ…、紹介…って…???」

楓の顔をチラチラと見て…政美、小さな声で…、
「か…え…で…ちゃん…???」

「えっ…???政姉ぇ…、楓…の事…、知ってるの…???」

「へっ…???知ってるの…って…、あんた…。」



「知ってるも何も…。へっ…、もし…へっ…???だい…す…。えっ、えっ、えっ、え――――――っ!!!!大、記憶…戻った――――――っ!!!!!」
いきなり両腕を天井に伸ばして、
「やった―――――っ!!!!わぁ―――――――っ!!!!」

その場で、両脚をドタバタさせて…、政美。
涙まで浮かべて、流して。


「楓ちゃん、楓ちゃん、楓ちゃん、戻った、戻った、戻った、大輔、記憶戻った―――――ッ!!!!きゃ――――――ッ!!!!」

楓の両手を握って、持って、振って、もの凄い喜びよう。

「うんうん、政美さん。戻った、戻った、うんうん。」

今度は、車椅子の楓の体に抱き付く始末。
「ま…、政姉ぇ…。」

「へっ、ばか、大輔、この人、あんたの彼女の楓ちゃん。どんだけあんたがお世話になったか。もう…母さんたちも、公認なんだからね。」
泣きながら政美。

「へっ…、うそ…、楓…。マジで…???」
キョトンとして楓を見る大輔。

照れながら楓。
「うん。もう…そう…なっちゃった。」
「あっ…、は、はは…、はぁ…。早ゃ…。」

その傍で政美、スマホを耳に、泣きながら。
「あっ、母さん、母さん、母さん、母さ~~ん。」

政美のスマホの向こうで睦美、
「何々何々、どうしたの???」



両腕を天井に伸ばして。


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「俺たち…、助かったんだな。」

  1. 2016/06/28(火) 05:11:20_
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「はっ…???俺が…、記憶喪失…???嘘…、冗談…!!!」

そう言う大輔の顔の前で、今度は赤い目をしながらも…、
厳めしい顔をして頻りに顔を左右に振る楓。

そんな楓を見て、初めて、
「えっ…、マジで…!!!」

そして、ようやく顔を数回頷かせる楓…。

「…で…、ここで…???」
「大と私…、キャンプの帰りに、事故に遭ったの…。」

「事故…???」

その…、「事故」と言う言葉を聞いた瞬間に、
「!!!!」

一気に今まで失っていた記憶が次々と細かなコラージュのように、
しかも…綺麗に整列するように甦ってきた。

「あ゛――――――っ、楓、お前…大丈夫なのか…怪我は…???…おいおい。俺たち…、おばあちゃんの車椅子。」

楓…、泣きながら…。
「うんうん。大…、良かった~~うっうっ…。」
涙が流れて止まらない楓。
何度も涙を手で拭いながら…。

「…って…、かえ…。あ…。そっか…。俺たち…。楓…。」
そう言った途端に、今度はいきなり大輔が楓をがっしりと抱き締める。

「楓…。俺たち…、助かったんだな。」

そう言った後に、涙で光る楓の顔を見て、今度は大輔の方から、
楓にキスをする。



自分の病室で楓と今までの事を話している大輔。
「そっか…。轢き逃げだったんだ。」
「陽子と朱が、怒って…凄かったって…。私と大を、元のままで返してって…。絶対に許さないって…。」

「朱実と陽子らしいや…。なぁ。」
「うん。…あっ、大…、ベッドの中…、入っても良い…???」

「…ん…???いいよ、俺も楓と一緒にいたい。」
「うん。…んじゃ…。」
と…、布団を捲って楓をベッドに入れようとして、楓が車椅子から起き上がり、
ベッドに入ろうとした時に…。

「大輔~~どぅお~感じは…???」
コンビニの袋を右手に病室に入ってきた政美。

いきなりガサゴソと、元に戻る大輔と楓。
政美…、
「あっ。」



「俺たち…、助かったんだな。」


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泣きべその楓。

  1. 2016/06/27(月) 06:23:16_
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楓と同じような方法で理学療法士の先生の指導を受けながらも、
時間以外には、楓が付きっきりで…見守っていた、そんな中…。

「ヨシ、良い感じ。今度はこれ!!!楓さん、ちょっと良い???肩貸して!!」
「良いよ、はい。」
と、言って、楓の肩に左手を着いて立ち上がった瞬間、
いきなり足が…攣った様な状態になり、バランスを崩し、
前のめりに、楓に覆い被さるように…。

大輔、
「いっ…!!!!!」

そう言ったかと思ったら、
「わっ!!!!」

いきなり楓の右肩を左腕で抱き締め、
楓の体が床に倒れる前に自分の体を捻って、楓を抱き締めたまま、
頭から床にバッタリ。

そのまま数秒…ふたりは目を閉じたまま。

そして…、倒れた瞬間に楓と大輔の唇は、重なったままの状態になっていた…。

先に目を開ける楓。
けれども再び目を閉じて唇を重ね続ける楓。
その時大輔。

少しだけ、薄っすらとした意識の中から、前にも味わった、甘酸っぱい感覚。
しかも…極最近…。

そんな感覚が、今正に、自分の唇に感じ、しかも、程良い香りも、つい最近…。
その時、いきなり大輔の目が開き、パチパチと瞬き。
そして、自分の唇に重ねられている楓の唇に気付き、
楓の顔を持ち上げ…、
「か…、楓…????えっ…???どうしたの???俺たち…何、してんの…???」

「へへへへ…偶然にも…キスしちゃった…。…って…、えっ???…大…今、私の事…、何て…???…大!!!」
「えっ???楓…って…。何で…そんな事聞くんだよ。楓…、俺の…彼女じゃん。」

その大輔の声を聞いた途端に、一気に涙目になる楓。
そして、
「ふえ~~ん。」

涙をぼろぼろ流して、起き上がった大輔に思い切り抱き付く楓。
そして、もう一度キスをして、また抱き締める楓。

「どうしたんだよ、楓???…ん…???俺たち…、ここで何してんの…???」
泣きべその顔をして楓…。


「大…、今まで…記憶喪失になってた。」
泣きながら楓。



泣きべその楓。


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付きっきりで見守りながら…。

  1. 2016/06/26(日) 05:28:03_
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「大丈夫…???橘さん…???」
理学療法士の吾妻瑞穂。

「だ…大丈夫ですって…。あっ…、先生…、楓…で、良いですよ。私…。」
「あ、…、ふふ…はい。」

そうこうしながらも、楓のリハビリは順調に進み、
それと平行に、大輔の方もいよいよ車椅子からリハビリへと…。



「これも…愛の力なのかね~。まさか…、あんたまでもリハビリするとは…。はっはっはっ。」
大輔の顔を両手で、掴まえるように…。

「痛いよ、政姉ぇ。」
「まっ…、楓ちゃんに任せておけば、安心って…訳だ。なぁ~旦那様…。」

そんな政美に、自分の枕を持ち出し、投げ付ける振りをする大輔。
おどけながら…。



そんなある日、理学療法士の瑞穂から、
「もう…ここまでくれば…楓ちゃん。OK、OK。頑張ったわね。うん。」
「先生の…教え方…良いから…。」

そして、瑞穂をしっかりと抱き締める楓。
「へっ…かえ…!!!はは…。ありがと。」

そんな楓を見ながら大輔。
「ヨシ!!!」


まだ車椅子で動いた方が移動するには早い楓だったが、
ある程度の時間であれば、
立ったままでもわずかながらの動きは出来る程に体は回復していた。

何よりも、日中は理学療法士の先生に、それ以外は大輔がそばで見守りながらも、
自分なりにリハビリの復習を続けた成果が早期の回復に繋がっていた。

そして、いよいよ、リハビリも大輔がやる時期に…。
こちらも楓に劣らず、順調にメニューをこなしていた。

もちろん、傍では楓が付きっきりで見守りながら…。

「ヨシヨシ、良いよ大。その調子、その調子。」

そして、時には、思わず倒れそうになり、楓が両肩で支えると言う場面も…。
「ひぇ~~、危なかった~大~はははは。」

「ごめん、ごめん。失敗、失敗。悪い。」

自分の顔の前に右手を縦にして楓に謝る大輔。
気にせず笑顔で、
「ドンマイ、ドンマイ。頑張ろ!!!」
楓。



付きっきりで見守りながら…。


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「妬っけるなぁ~~。」

  1. 2016/06/25(土) 10:41:56_
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「いやいや…、楓ちゃんにも…恐れ入っちゃったね…はは…。リハビリってか…。…しかも…あんたには車椅子…。…ん…大輔…???」
「はは…、全くだ。やってくれる。あんな感じの…子なんだね、楓さんって…。」

「ん~~???」
「事故前…、俺…、どんな風に、あの子と付き合ってきてたんだろ…。」

大輔のベッドの傍まで椅子を持って来て、背もたれに腕組んで、
その上に顔を乗せて政美。

「ふふ~ん。」
「…な、なんだよ、政姉ぇ…。」

組んだ腕を解いて、大輔のオデコを右手人差し指で突いて…、
「こいつ~~、妬っけるなぁ~~。ふふ…、良かったね、弟殿。楓ちゃん、可愛くって…。姉ちゃんも…、嬉しいよっと~。」
「ばか…、何言ってんだよ。」



「えっ!!!!じゃ…、大も車椅子ってか???」
慎二と智志。

「うん、私が提案した。」

「はははは…。はぁ~ぁ。」
朱実。
「あんたらしいよ…。」

「病院で、いつまでもベッドの中なんて、絶対嫌。」

「正に…我を行ってるね。かかか…。」
陽子。

「負けず嫌いの…、猪突猛進型…、ってが…。」
朱実。

「あっ、それそれ…大ちゃんの受け売り。」
「あっ…、だっけ…。キャハ。」



宣言通りに、翌日から楓はリハビリ、そして大輔は車椅子と、
少しずつ身体を馴らす事になった。

もちろん、時折外に一緒に出て、気分転換もしたり。
そして、その光景を見ている看護師には、羨ましがられたりも…。

殆どが楓のリードではあったが、それでも大輔は、
その楓の言葉を快く受け入れていた。

楓のリハビリでは、ずっと、楓の動きを見守りながら…、
「俺も…、この車椅子慣れたら、こんな風に…。はは…。」

そんな風に感じながら…。


「あいた、てててて…。痛った~~。おぅ~。…ちょっと…、今…グキッてきたね。…かかか…。」
笑いながら楓…、療法士の先生を見ながら…。



「妬っけるなぁ~~。」


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「もう…これ…終わりにする。」

  1. 2016/06/24(金) 05:30:59_
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そして、楓を見て睦美。
「楓ちゃん、大輔の事、よろしくお願いね。」
笑顔で楓に言う睦美。

「はい。これで、母さんたちは、私の味方だよ。大。」
「楓…、あんたって子は…。ふふふ…。」
鼻に人差し指を当てて微笑む弓枝。

それからはもう、時間が許せば、楓は必ず車椅子で大輔のベッドの傍で話を交わしていた。

「えっ…???じゃ、君の夢にも亜紀が…。」
「うん。亜紀さんが私を夢から覚まさせてくれたの。」

「俺と同じだ…。」
「亜紀さんが夢に出て来なかったら、私…、どうなっていたか…。こうやって…、大とも会えなかったかも…。」

「…でも、君って…、あっ、いや…、楓さんって、凄いね。」
「…ん…???何が…???」

「何だか…大っきい。」
「…ん…???だって…、大の事…好きなんだもん。」


「おっ…、いたいたいた、お二人さん。何々…、何話してんの…???」
政美。

「政姉ぇ、学校、終ったんだ。」
「こんにちは、政美さん。」

「よっ、楓ちゃん。元気ジャン。」
「うふ…、お蔭様で…。」

「もう、すっかり車椅子慣れちゃったね。」
「うん。でも、もう…これ…終わりにする。」

「えっ…???」

大輔も…、
「…ん…???」
「明日からでもリハビリ入っちゃう。」



「え―――――っ、リハビリ~~!!!」
見舞に来た朱実と陽子、そして慎二に智志。

「全くこの子は…、車椅子に慣れたと思った途端に…、今度は…。」
弓枝。

「だって、この身体で楽しみにしてた高校生最後の高体連もパァ。ものっ凄い中途半端。」

「まぁ…、楓がいなかったから…、みんなも同じように…、試合も…ドミノ倒しみたいにズルズになっちゃってたし…。男子も…大ちゃん抜きだったから…。」
朱実。

「まっ、何か…、物足りない事は確か…。」
陽子。



「もう…これ…終わりにする。」


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「私、橘楓。」

  1. 2016/06/23(木) 05:11:23_
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そしてベッドから…大輔…。
「母さん…???」

「あっ、はいはい、あっ、楓ちゃん。どうぞ、どうぞ。」

ゆっくりと大輔のいるベッドへ…楓…。

楓の顔を見て…大輔…。
「えっ…???こ…の…人…???」
楓の顔を見て、弓枝の顔を見て、そして睦美の顔を見て。


「大輔…、この人が…楓さんよ。」
睦美もこの時、薄らと目を潤めて…。

「か…え…で…、さん。」

僅か数秒…、その「か…え…で…さん。」の言葉に目を潤ませた楓。
そして鼻水を啜った楓。

ところが…、その表情は本当に僅かに数秒、
いきなり大輔の目の前に右手を差し出し、
「私、橘楓。」
と、きっぱり。

そんな楓を見ていた弓枝と睦美が、
「!!!!」


「手を出してるんだから、握手くらいしてよ。事故の前まで、私たち、彼氏と彼女だったんだから。」
笑顔で楓。

「えっ…???僕と君が…???えっ…、マジで…???」
「嘘でこんな事、母さんたちの前で、言える訳ないじゃない。」

「あ…、いや…、そりゃ…、まっ…、そっか…。」
照れる大輔。

その途端、今まで目を潤ませていた睦美が…、いきなり…、
「ぷっ…、くくくく…。はぁっはっはっ。…はぁ~ぁ…。」

その睦美の笑いに誘われて、弓枝までもが口に手を当て笑う始末。

「弓枝さん…。」
「ええ、ええ…。」

「さすが…楓ちゃん…、出来てる…ぷっ。」
「まったく…、この子ったら…。」


「母さん…???」
大輔…。

「ええ、ええ…、どうやら、その辺は…間違いないようよ。母さんたちも…認めてるから…。」
「えっ…うそ…???」

そう言って、自分の傍の楓の顔をマジマジと見る大輔。

「そんなに見つめなくっても良いよ、これから毎日見る顔だから。」
「えっ…、毎日…???」

その楓の言葉を聞いて睦美が、今度は手を叩いて笑う始末。
「そりゃいいねぇ~大輔…え~~。」



「私、橘楓。」


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「分かってる。母さんも、最初っから…。」

  1. 2016/06/22(水) 05:27:30_
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病院の裏側、数名の患者さんが車椅子に乗っている。
外に出て気分転換だろう。昼下がりの良い天気。

向こうには樹木、そしてその向こうに通りがある。
そんな樹木の下には綺麗な花が一列に咲き乱れている。

楓、
「うん、いい気持ち。やっと出れた~~。」
両腕を空に突き出すように…。

弓枝はベンチに座って。
「楓…、ほんとに…良かったね。」
少しだけ目を潤めながら…。

「母さん…。亜紀さんの…お蔭…。」
「えっ…???」

「亜紀さんが…夢に出てこなかったら…、私…。へへ…。」
そう言って、少し涙を浮かべる楓。

「亜紀さんって…???楓…???」
そう言いながら楓を見て、円香を見る弓枝。

「私と…、大に、一番大切な人。」
まっすぐに夏の景色を見ながら楓。

「亜紀…さん…。」
ポツリと弓枝。



そしてゆっくりと外で過ごした後に、
「さて…、そろそろ部屋に…。」
弓枝…。

「母さん。」
「…ん…???ふふ…、分かってる。母さんも、最初っからそのつもりだったから…。」

楓の乗っている車椅子の右の肘掛けに左手を置く弓枝。
その弓枝の左腕に両腕を絡める楓…。
「ヘヘヘ…ありがと。」



「あら、弓枝さん!!!えっ…、まあまあ…楓ちゃん。もう車椅子でも…。」

同じ呼び方が、「たちばな」と言う事もあり、いつからか、
名前で呼び合うようになっていた。

「えっ…母さん…、大の…???」
「そう…、もう…母さんたち、大輔君のお母さんたちとは、名前で言う事にしてるの。大輔君の…こちら…お母さん、睦美さん。今日は…政美さん、学校ね。」

「大…、いや…、大輔君の…お母さん…。」
「大でいいのよ、みんな…そう言っているみたい。逆に、その方が私たちには嬉しい。」

「…あ、はい。ありがとうございます。私…。」
「あらためて…、初めまして。橘樹睦美、大輔の母です。」



「分かってる。母さんも、最初っから…。」


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「逆にコッチの方が…。」

  1. 2016/06/21(火) 05:06:58_
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「大丈夫なの…本当に…???」
弓枝。

「大丈夫、大丈夫。痛いのは生きてる証拠。ほい。出来た。一度…動きゃあね、もう…こっちのもんよ。」
「…ったく…、あんたって子は…。」

「じゃ、橘さん、これから…動きます。」
と、看護師。

「あっ、はいはい!!!」
すっかり看護師に任せっ切りで、覚えようとするのを忘れていた弓枝。
「そうだ、そうだ。私がしっかりと覚えておかなきゃ…。はい。」

「エレベーターで下まで降ります。」
看護師。

「何階なの、ここって…???」
「3階よ。」
弓枝。

一番下のフロアまで降りて、玄関とは逆方向の庭に出る踊り場の出入り口から外へ。

「ははは…、やっぱり、気分…全然違うわ。ありがとうございます…。えっと~…。」
「中峯です。中峯円香。まだ新米で…1年経ってないんです。」

それを聞いた楓…。
「いや~~嬉っしい~。若い看護婦さ~ん。」
そう言いながら手を叩く楓…。

「…って…、楓!!!看護婦さんに…、失礼ですよ。」
「あ~い。」

思わずクスクス笑う円香。

「すみません…、この子ったら…。」
思いっ切り、控えめの弓枝。

「いいえ~、逆にコッチの方が…楽しくなってくるくらい。楓ちゃん、かっわいい~。」
「だってさ~母~さん。へへ…。」

「まっ…、とにかく、元気になってくれれば、こっちのもの…。」
「何よ。」

「早く、退院しなさい。」
「うそっ、初めて車椅子乗った娘に言うセリフ~~???…ったく~。い~だ。」

楓と弓枝の会話に始終クスクス笑っている円香。

「ごめんなさいね、こんな会話しかできなくって…。」
弓枝。

「いえいえ、何だか…仕事…忘れちゃいそう…。ははは…。」



「逆にコッチの方が…。」


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「な~に馬鹿言ってん…の。」

  1. 2016/06/20(月) 05:13:04_
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「みなさん…、本当にありがと…。大輔に…こんなに…。」
睦美。

大輔、
「君たちも…僕と同じクラスの…???」

「そう~、みんな同じクラス。私が学級委員長の五月野萠美。そして、その他諸々。」
と、五月野。

そこに原田、
「…って…おい、五月野、その他諸々…ってのは、ねぇだろ~!!!」
笑いながら…。

「ぷっ!!!ごめ~ん。」
睦美も思わず「くすっ。」と、笑って…。
「本当に、楽しい生徒さんたち。」
そう言って、大輔の顔を見る。



クラスの生徒たちからの見舞いを切っ掛けに、ベッド上での受験勉強を始めた楓。
医師からも、その方が良いかもしれないと、逆に提案され始めたのだった。

更には、勉強を始めた、その日のお昼には、
「母さん、私…外に出ちゃダメ…???」

その言葉に驚く弓枝。
「な~に馬鹿言ってん…の~~???ん……???」

何を思ったか、弓枝。
「そうね~。先生に…聞いてみようっか!!!」

「ありがとう、恩に着る。」
自分の顔の前に両手を合わせて。

そのまま部屋を出る弓枝。窓の外を見る楓。
「まだ…この窓の下…、見た事…ない。…そして…、大…、今……。」

その内、ドアが開き、
「OK出たぞぉ~~!!!」
「キャハッ!!!さっすが、母さん。」

そして、弓枝の後ろから、車椅子を押しながら看護師。そして医師の森下。
「ヨッ、楓君、元気になったか???自分から外に出たいなんて…、良いねぇ~。」
「アハ。先生、ありがとうございます。なんか…もう…、動いていないと、どうしようもなくって…。」

「ただ、無理だけは…勘弁してくれ!!!」
「はい。分かってます。シシ…。」
と、最後は口を手で隠し…。


車椅子までは看護師、そのやり方を見ながらの弓枝。
楓、
「おっ、わわわわわ…痛っ!!…脚が…固まってる。ひぇ~~!!!」



「な~に馬鹿言ってん…の。」


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「があ…ざん。あ゛~~~~~。」

  1. 2016/06/19(日) 06:29:08_
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楓の病室で弓枝、そして睦美に政美。
睦美、
「…楓…ちゃん…。ごめん…なさい。大輔…、楓ちゃんの事…。そしてみんなも…先生の事も…。」

小さな声で楓…、
「おぼ…えて…ない…。大…、記憶…喪失…。」

みるみる顔を赤くして、目に涙を溜める楓、目尻から流れる涙…、止まらない。
瞼を閉じて、開いて、そしてまた閉じて、口を開いて息を吐いて、吸って、
鼻水が出ても、どうする事も出来ない。

「うっ、うっ、うっ…。あ~~~~。」

楓の顔を抱き締める弓枝。

「があ…ざん。あ゛~~~~~。」




「大、大、大、俺だ、慎二だ、智志もいる、朱実も陽子も、先生もいる。…なんでだよ、大…、そんな…。覚えてないのかよ。」

洋祐、
「慎二…、余り大輔に負担を掛けると…。」

智志、
「だ…い…。」

朱実、陽子…、そして優美子。
「大ちゃん。」
「大輔君…。」



夏休みが終わり、新学期が始まり、洋祐から生徒全員に楓と大輔の事が告げられる。
教室中にどよめき。

いきなり五月野、
「朱実、陽子、楓は…???大輔君は…???慎二に智志、あんたたち。あんたたちが一番分かってるでしょ。なんで!!!」

最後には涙を溜めて4人に訴える五月野。
「なんで、もっと早く、教えてくれなかったのよ。みんな…仲間じゃない。」
両手で思いっ切り机を叩く五月野。

「委員長…。」
朱実…、そして陽子…。

「五月野…。」
慎二に智志…。

4人共に…、
「ごめん…みんな。」



9月、生徒たちは揃って受験勉強に集中。
そんな中でも生徒たちが、楓と大輔の病室に、日々見舞に訪れていた。

楓、
「五月野…黙ってて…ごめんね。ありがと。」
「んもう~びっくりしちゃったわよ~、何やってんのよ、あんたらしくもないわね~。」

涙零して、拭いながらも笑顔で五月野。
「まったく~。」



「があ…ざん。あ゛~~~~~。」


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「私と政美の事は…。」

  1. 2016/06/18(土) 06:06:26_
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政美…、
「大…輔…!!!…そ…ん…な…。」

その瞬間、3人の頭に浮かんだ言葉が…、
記憶喪失。

そして、言葉を失う弓枝…。顔を青褪めながら…。

「…でも…、そん…な…、事って…。」
睦美。
「私と政美の事は…。」

「かあ…さん…。まさ姉ぇ…。かえでって…???この人…???」
大輔…。

慌てて睦美、
「橘さん…。」
弓枝の右腕を触って…、
「ご…、ごめん…なさい。」

蒼白い顔をして、大輔を見て、それから焦点が合わなくなり…、
「い…、いいえ…。はい。ええ…。いえ…、大丈夫です。はい。」

「おば…さん…。」
政美が、薄らと目に涙を溜めて…。

「うんうん。…大丈夫…、ちょっと…、失礼します。」
大輔の部屋を出て、ドアを後ろ向きに…、
「こんな…事って…。…楓…。」




陽子、
「えっ!!!!大ちゃんも意識…戻った。…けど…、記憶喪失―――――ッ!!!」

陽子から連絡が届いた智志、朱実、慎二、そして洋祐も優美子も、
「!!!!」



大輔の病室で医師の森下雄二。
「部分的記憶喪失…ですか…。確かに、家族の事や今までの日常的な事は大丈夫だと思うんですが…。何か、過去に大きな出来事があったとか…???」

「ええ…、私共…去年の夏に、こちらの吉祥寺に引越して来たんです。」
睦美。

「そうですか…。では、多分…、その頃からの記憶が…彼の中では…。」

「…この…一年の事が…、記憶が…ない。」
政美。

「…残念ですが…、そう…考えると…理解できます。…そして、そういう症例は…実際に…ありますから…。

睦美も政美も…、
「……。」

「しかし…、治らない訳ではありません。決っして…。けれども、無理なさらないで下さい。逆に慌てて治そうとすると、その逆になる危険性があります。」
「えっ…???」

「脳に…衝撃を与えます。そして…、最悪の場合は…。」



「私と政美の事は…。」


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光が大輔に向かって…。

  1. 2016/06/17(金) 10:36:31_
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大輔が後ろを振り向くと、
何やら明るい光が大輔に向かってゆっくりと降りてくる。

その光に手を差し伸べると、何とも懐かしいあたたかさ…。
そしていきなり大輔は、その光に吸い込まれる。



綺麗な夕陽が窓から差し込まれている大輔の病室。
瞼がゆっくりと静かに、薄く…。
そして今度は半分、そして2回と瞬き…。

「大輔、大輔、大輔―――――――っ、あ~~~ん、大輔!!!」
政美。

「ま…さ…姉ぇ…。」
大輔。

「うんうん。政姉ぇだよ、うん。」

そんな政美の脇から睦美。
「大輔、良かった~~あんた…もう…。」

「か…あ…さん。亜紀が…。教えて…くれた…。」
「えっ…、亜紀…って…、あの…亜紀ちゃん…???」
政美。

「どういう事…???」
睦美。



後で調べて分かった事だが、去年の夏、
群馬はみながみ町の赤ヶ谷湖でバッタリ出会った大輔の幼馴染の坂崎亜紀。
この年の2月には、再びの発作が原因で、既に亡くなっていた。



政美と睦美は、そのまま楓の病室に報告。
「大輔が…目を覚ましました。」

弓枝、
「えっ!!!ほんと!!!良かった~~~楓。」

その瞬間…、ベッドの中の楓の目尻を通って、涙が一滴…。
そして鼻を啜る音…。
そして…、
「だ…い…。」

「母さん…大輔君の部屋に…。」
静かに笑顔を見せる楓…。


「大輔…、こちら…橘さん、楓ちゃんのお母さんよ。」
睦美。

「大輔君、初めまして。楓の母です。良かった~~。楓も数時間前に、目覚めたばかりで…。」
弓枝。

けれども大輔…、
「は…じ…め…まして…。たち…ばな…さん…???かえで…???」

その大輔の表情に…、政美。
「へっ…、どしたの大輔…???…楓ちゃんのお母さん。あんたの彼女の楓ちゃんのお母さんだよ。」


「か…え…で…???…って…、誰…???」

睦美も政美も弓枝も…、
「!!!!」



光が大輔に向かって…。


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目をパチパチと…楓。

  1. 2016/06/16(木) 08:28:16_
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「あれ…???わた…し…???へっ…???」
開いた目をパチパチと…楓。

「かえで…、かえで…、楓―――――ッ、あっあっあっあっ――――――っ。」
楓に抱き付く陽子と朱実。

「朱…陽…。あっ…、はははは。」

涙を流して弓枝…。
「楓…。」

そんな弓枝を見て…楓…、
「か…あ…さん…。」

「うん。」
声にならない声で…、
「よかった。」


「楓、ちょっとゴメン。」
いきなり楓のベッドから離れて朱実。大輔の病室へ。

「楓、目、覚ました!!!」

大輔の病室にいた全員、
「えっ!!!!」

その次に慎二と智志、そして洋祐、
「ヨシ!!!」
「ヤタ!!!」
「そっか…。うん、楓!!!」

そして優美子に睦美、政美、
「よかった~~~。」

そして、
「大ちゃんは…???」
朱実。

そして全員…、
「ん~~ん。」

「でも…楓ちゃん…、良かった~ね~~うん。」
睦美と政美。

「大、大!!!楓…目ぇ覚ましたぞ、大。」
智志が何度も大輔を呼ぶ。けれども大輔はまだ…。



「しっかし…、すげえ景色だよな、ここって…???」
川の向こうの亜紀を見ながら…。でも、その場に行く方法のない大輔。
後ろには誰もいない。手を振っている亜紀。

「おい、亜紀。待ってろ、すぐ行くから。」
そういう大輔ではあったが…。川の畔まで近づくと川幅は広がり、
遠ざかればまた狭くなる。その繰り返しが、何度も続く。

「何なんだよこの川…???え~い、じれってっ…。」
と、思わず川が狭くなったのを見計らって向こう岸へジャンプ…しようと…、
その時、亜紀のハッキリとした声が…。

「大輔、まだ来ちゃダメ!!!」

その声に…、
「おっとっとっと…。」



既に夕方に差し掛かっていた。



亜紀のその声に、
「だって…、他に誰もいないし…。」

大輔がそう零すと…、亜紀が大輔の後ろを指差して…。
「ん…???」


ベッドの大輔の瞼が…。

「母さん!!!」
政美。



目をパチパチと…楓。


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吉祥寺の病院。

  1. 2016/06/15(水) 05:55:10_
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朱実、
「ぃやった―――――ッ、すぐに楓と大ちゃんに会える―――――ッ!!!!おばちゃん、ありがと。みんなに連絡する。」

「うん。そうしてあげて…。」
弓枝。

もうその日からは、吉祥寺の病院で毎日のように、楓と大輔の病室は賑やかになっていた。
当然の事ながら、洋祐も優美子も病室に訪れて、
辰巳も睦美、それに政美と弥生も、大輔の友達を歓迎していた。

「これが…大輔の友達~~。凄いパワーね。」
政美。

「でしょう~~。このエネルギーのお蔭で…私たち…。」
大輔を見舞に来た優美子。

「はぁ~~。分かる気がする…。しかも…これに楓ちゃんと、大輔が加わるのか…。…どんな風になるのよ…???」

「…ん…???まぁ…、それは…、え~~と…、私と…妻…みたいに…なるのか…な…。…なんて…。」
照れながらの洋祐…。

「ぷ…。…で…しょうね~ははは…。」
可笑しくって…どうしようもない政美。



そして…、
「おい楓~~、目ぇ覚まして~お願い。」
陽子。

「そんな…陽子ちゃん…。」
と、笑顔の弓枝…。

でも…、その時…、楓の眉毛が…。




「あっ、ここなら…向こうに行け…そう…。シッシッシッシ…。」
夢の中で楓。

川の向こうで手を振っている亜紀。極端に川幅の狭い場所にようやく辿り着いて、
そのまま川の中を歩いて、渡ろうとしていた。

そしてその川の途中まで来た時に、いきなりハッキリとした声で亜紀。
「楓さん、あなたはまだこっちに来ちゃダメ!!!」

「だって…亜紀さん…、私の後ろには誰もいないし…。」
と、楓が後ろを振り向いた途端に、何人かの声が楓に…、
「楓~楓~。」
「へっ…???」

その声は少しずつ高くなって行く。
「楓――、楓――ッ!!!」


ベッドの楓の目が薄らと…。

開く。


「楓――――――ッ!!!!」
陽子、朱実。




吉祥寺の病院。


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綺麗な花々…。雄大な自然の景色。

  1. 2016/06/14(火) 10:50:42_
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周囲は綺麗な花々が咲き乱れていた。

「へぇ~~、こ~んなとこって、ほんとにあるんだ~。ドラマや映画で、何度も観た事あるけど…。本当に観たの…初めて~。」
楓は、夢を見ていた。

「あ…、大…。いたいた、だ~~い。」
けれども…幾ら呼んでも一向に、大輔は、振り向いてくれない。

「んもう…、私の事…、忘れたんじゃないでしょうね~。だとしたら…、後で…酷いんだから…。」

そんな風にしながらも、花々を観ていると、そこに…、
「えっ…???どうして…あなた…???亜紀さん…???」

丁度、楓の立っているその場所から川の向こうに、
去年の夏の花火大会の時に逢った、坂崎亜紀が、
楓に手を振っていたのだった。

「亜紀さ~ん、待ってて~、私もそっちに行く~~。」
楓はそう言って、近くに、橋がないかと懸命に探す。
ところが、どんなに橋を探しても見つからない。

「なんで、橋がないのよ。ったく~…。」
そんな光景が、ここ数日、楓の頭の中では…繰り返し続いていた。

しかも、それと同じような事が…、大輔の身にも…。
けれども大輔の場合は、花々ではなく、大自然。
雄大な自然の景色の中だった。

ただ…、同じように、亜紀が川向うで手を振っていたが、
楓は元より、智志も慎二も、陽子も朱実の姿もなかった。
そんな夢とも言う現象が楓と大輔には数日、同じように繰り返されていた。



「橘さん、吉祥寺の病院、手配できましたよ。」
事故発生から13日目の事である。

「ありがとうございます。何とお礼を申していいやら…。申し訳ございません。」
弓枝、そして佳之。並びに辰巳と睦美。

「いいえ…。とにかく…、大事になさってください。」

その日の内に転出、及び転入。
弓枝、朱実に電話。
「朱ちゃん、楓と大輔君、吉祥寺、戻って来たわよ。」



綺麗な花々…。雄大な自然の景色。


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「お願い出来ますでしょうか…???」

  1. 2016/06/13(月) 06:30:31_
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夏休みも半ばに差し掛かっていた。
楓と大輔の事が気になってはいたが、
今の状態では勉強に身が入らないと感じ、
智志の呼び掛けで4人揃って陣内夫婦の元で受験勉強。
一人で勉強していても気になって仕方がないのだった。


「あは…。お腹…、こ~んなになってる。ふふ…。」
朱実。

「こん中に、赤ちゃん…入ってんだな~。」
と、慎二が優美子のお腹を触ろうとした途端に、朱実が慎二の右手をペン。
「どスケベ!!!」

「いって~~!!!…んもう…。」
その瞬間、洋祐も智志、陽子も大笑い。

涙を流して笑ったのが優美子だった。
「はははは…、おっかしい~、はぁ~、涙出てきた。あぁ~苦しい。」

そして、慎二に朱実、両手を使って変顔。
「ビェ~ン。」
笑う慎二。

そこに…、
「やめて、やめて、朱実ちゃん…、可笑しくって逆に…お腹に障る。」
「あ…、ごめ~ん。」
その瞬間、更にみんなで大笑い。



「そうですか…。そうですね。このままだと…。」
桑谷。

「お願い出来ますでしょうか…???大輔君のご両親とも一緒に考えた上での結論なんです。」
弓枝。

その隣で睦美と政美。睦美、
「私の方からもお願いします。それに、あの子たち4人のためにも…。」

「分かりました。幸い、私の知り合いの医師が吉祥寺にもいますから、話しをしてみます。そして…、紹介状を書きましょう。」

既に事故から10日以上も過ぎていた。家族もこれ以上の通院には限界を感じ、
それに、楓と大輔の一番の友達、朱実と陽子たち4人のためにも、
出来るだけ吉祥寺に近い病院への転入に踏み切ったのだった。

そんな中で、楓と大輔、未だ変わらず…。

ただ…、ここ数日…。
「いい匂い…。ん~。何だか…身体…軽い…。でも…、ここ…何処…???大…???朱…、陽子…。慎二~智志~???」



「お願い出来ますでしょうか…???」


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「私…ダメ…。行こ。」

  1. 2016/06/12(日) 05:27:46_
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事故から4日目…。
楓、大輔…、ベッドの中…。未だ意識は戻らず…。

東京の吉祥寺から神奈川の三浦海岸までは、
交通機関で順調でも2時間前後は掛かる。
そんな時間を何とか、楓の両親と大輔の両親は、
家族交代で往復を繰り返していた。

既にふたりの母親の携帯電話には朱実、陽子たち4人からの電話履歴が毎日。



「陽子…、私…ダメ…。行こ。」
朱実。

「うん。私も朱に電話するところだった。智志に電話する。慎二は…???」
「もうOK。」

「じゃ…。」


吉祥寺駅から陽子、弓枝に電話。
「あっ、おぱちゃん、私たちこれから、病院行く。」

既に4人には、毎日の見舞いは大変だからと、
言い伝えていた弓枝だったが…。

「うん。分かった。いらっしゃい。とにかく…、気を付けて…。」
「うん。」



去年は6人、楽しい夏休みを過ごしていた。けれども今年は…。
高校3年の夏休み。陣内夫婦の結婚式を達成させて、
その勢いで受験勉強へと…。

それが洋祐と優美子とのプランだった。
その半ば…。ベッドの中の楓に陽子、朱実、
「楓…、楓…。目を開けて…。」

「大、大、大、何で目ぇ、覚まさないんだよ。大。」
そんな慎二と智志に、薄らと涙を溜める政美。
左手でそれを拭いながら…、
「今日で…4日目。はぁ…。」

全く楓と大輔の状態は変わらないまま、それからまた数日経過…。

弓枝と睦美、医師の桑谷へ。
「先生…、どうして…、こんな…???」
「通常であれば…、早くて2、3日で、意識は戻るんです…が…。今日で…1週間ですか…。ん~~。若いとは言え…、長いです。確かに…。ただ…、症例では、稀に…2週間と言う場合もあります。」

「そんな…。」
弓枝。

「ただ…、もう…検査を行っても、脳に異常が見られない限り…、私たち医師としても…。もう少し…様子を見ましょう。」



「私…ダメ…。行こ。」


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それぞれの朝。

  1. 2016/06/11(土) 05:59:54_
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「そうですか…、そんな事になってたんですか…。」
まだ朝早い、病院の待合室で洋祐。

弓枝、睦美、政美を見ながら優美子。
「大変だったですね。うん。」

「とにかく、命に別状がなくて、本当に…助かりました。」
弓枝。

「…で、ふたり共…意識の方は…???」
洋祐。

「昨日の今日ですから…まだ…。先生の話しでは、2、3日は掛かるかと…って…。」

「そうですかぁ…。」
優美子。




「ご馳走さま~。」
陽子。

「あら陽子…、もう良いの、ご飯…???」
美智子。

「うん。あんまり、食べたくない。」
うなだれるように自分の部屋に向かう陽子。

「仕方ないじゃないか…、一番仲の良い友達が交通事故に遭ったんだ。しかも…、自分の目の前で…。」
食事をしながら、そう言う陽子の父、貞夫。

「分かってはいるんだけど…。あの子…。」

朝から元気がないのは、陽子だけではなかった。

「朱実~朱実~、起きてるの???開けるよ。」
朱実の部屋のドアの前で…、母、澄子。
「ご飯は…???覚めちゃうよ。」
「…食べたくない。」
まだベッドの中…、毛布を掛けて、ドアに背中を向けたまま…。

「そう…。分かったわ。じゃ…食べたいときに…、そのままにしておくから…。」
「うん。ごめん。」
鼻づまりの声で…。

こちらもベッドの中でスポーツ雑誌のページを捲りながら…慎二。

母親の瑛子、
「あの子…ご飯…。」
椅子から立とうと…、その時、父親の慎(まこと)、新聞越しに…、
「母さん、母さん、んんん…。」
首を振る。
「そっとしておいて…、あげなさい…。」
「だって…。…んもう…。」

こちらは縁側に座って茫然と…。そこに…、智志の肩をトントンと…、
「昨日は…大変だったな…。」
智志の父親、瑛二。

「飯くらい、食っとけ。若い身体に飯抜きは毒だ。」

「とう…さん。」



それぞれの朝。


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眠りから覚める弓枝・睦美。

  1. 2016/06/10(金) 05:16:31_
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肩を優しく擦られ、眠りから覚める弓枝。
「あっ…、看護婦さん…。すみません…、寝ちゃってました。」
「お疲れでしょ。昨夜は眠ってらっしゃらないとの事ですが…。」

「ええ…、まあ…。やだ…こんな恰好で…。」
「いえいえ…。」

そして範子が病室の入り口に手を差し出す。
「先生!!!」

優美子、
「橘さん。」

「まぁまぁ…、こんな朝早くから…。」

「とんでもない、私たちの可愛い子供たちでもあるんです。」
洋祐。

「陣内先生…。」
ぐしゃぐしゃな顔に、うっすらと涙を浮かべて…。

ゆっくりとベッドに近づく洋祐と優美子。声にならない声で…、
「かえ…で…ちゃん…。こんなに…なっちゃって…。」

「すみません、男の子の部屋は…???」
洋祐。

範子、
「御案内します。」

「じゃ…、俺は大輔の方に…。」
頭をコクリと優美子。

こちらも同じく、ベッドに顔を埋めて眠っている睦美。
そして、ソファでブランケットを掛けて眠っている政美。

ドアをノックする音…、
「へっ…。」

いきなりブランケットを捲る政美。
「あっ、はい。あっ、看護婦さん、昨日はどうも…。えっ…???こちら…は…???」
「楓ちゃんと大輔君の先生…。」

「初めまして…、担任の陣内と申します。…この度は…。」

「あ~あ~、はいはい。」
ベッドに振り返って、
「母さん、母さん、大輔の先生。」
睦美の肩を叩いて。

「へっ…、あっ、はい。あ…、これは、これは…、先生…、すみません、こんな恰好で…。」
「すみません、こんな朝早くから…、窺っちゃって。」

「とんでもない…、わさわざ…申し訳ありません。…ありがとうございます。」
「大輔君…いいですか…???」

「どうぞ、どうぞ…。」

楓のように、意識のない大輔。

「大輔――っ!!!こんな…。」
いきなり目を赤くする洋祐。



眠りから覚める弓枝・睦美。


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「まずは…帰ろう。」

  1. 2016/06/09(木) 05:36:33_
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一気に驚いて、気を失い掛ける優美子。
「優美子!!!聞いてくれ。あいつら無事だ!!!」

「へっ…???」
「事故に遭ったのは楓と大輔。病院で意識はまだだが…命に別状はない。」

それを聞いて…安堵する優美子。

「はぁ…、良かった。」
そう言いながら、薄らと涙を浮かべる優美子。

「楓のお母さんが、お前にショックを与えないで伝えて欲しいと…。まだ4人も病院にいるそうだ。」

「楓ちゃん…、大輔君…。…明日…病院に行くわ、私。」
「ああ…。」



「お父さん…朱ちゃんと陽子ちゃんたち…。」
弓枝。

「ああ、分かった。送ってく。さあ、ノリ。」
「……でも…姉ちゃん…。」
憲明。

「大丈夫、ノリ。母さん、姉ちゃんの傍にいるから…。お父さんと一緒に…。ねっ。」

「おばちゃん、おじちゃん。」
楓の病室に戻っている朱実と陽子。

「じゃ…、おじさん…。」
智志。

「うん。みんなの両親も心配してるだろ…、ここはまず…。」

これまでの間、朱実や陽子、慎二と智志のスマホにも、家族からの電話が数回。

大輔の病室に佳之。

「橘さん…。」
睦美。

包帯の大輔を見て佳之。
「…なんで…こんな事に…。」
歯を食いしばって…、きつく目を閉じて…。そして、振り返り、
「この子たち、送って、私はまず、これで…。」

「はい。何と言葉を掛ければいいか…。」
睦美、琢己。

「でも…、助かって…ほんとうに…良かった~~。」
目に涙を浮かべて佳之。

その涙を振り絞って、
「ふぅ…。みんな…まずは…帰ろう。」

病院の玄関に向かう6人。既に午後9時を回ったところだった。



朝になり、まだ楓と大輔の意識は戻らず…。
楓の病室のドアをノックする音。返事がない。

「あら…、楓ちゃんのお母さん。」
範子である。

弓枝は、楓の左手を握りながら、眠っていた。



「まずは…帰ろう。」


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「陣内先生…、橘楓の母です。」

  1. 2016/06/08(水) 10:34:44_
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「けど…、あの時は…楓ちゃん…、そんな風には…見えなかったけど…。まっ、周りに人も多かったから…。それに…そんなにマジマジとも見なかったし…。」
政美。

「えっ…、政美…、じゃ…、この子たちの事…???」
弥生。

「うん、去年の夏休みに、立川の花火大会でバッタリ。」
「へっ…バッタリって…???」

「それがまた…、ドッキリハプニング…。…あっ、でも、ここじゃ…そんな話…。」
「ええ…、まぁ…。」

その時、ドアを開けて朱実と陽子…。
「だ…い…ちゃん。」

「いらっしゃい。」
政美が2人を手招きする。

「じゃ、俺たち楓を…。」
朱実と陽子、
「うん。」



「あっ、陣内先生ですか…。橘楓の母です。」
「ああ…橘の…。お世話様です。」

リビングでテレビを観ている洋祐。優美子はお風呂の準備。

弓枝…、
「実は……。」


「え―――――ッ!!!…はぁ…、はぁ…、はい…。…いや…、これは…全く…、なんて事に…。…ええ…、妻には…、はい。分かりました。わざわざありがとうございます。失礼します。」

一気に蒼褪める洋祐。
「あ~~~ん、もう…。なんて事だ。…ったく…、楓、大輔…。あ―――――っ!!!」

顔を両手で塞ぐ洋祐。そこに優美子。
「ん…???どしたの…洋祐…???」

「優美子…。いいか…、今から俺の言う事…、絶対に動揺しないでくれ…。」
「えっ…???」

「…と、言ってみたところで…、俺も驚いたんだから…、ったく…、無理か…。」
「はぁ…???」

「あのな…。」
「……、何かあったの…洋祐…???…顔…蒼いけど…???」

「あいつら…今日…、キャンプだったよな…。三浦海岸に…。」
「ええ…。た~のしんだんじゃないの~ふふ…。」

「…その…帰り…、事故に遭ったそうだ。」
「え―――――ッ!!!」



「陣内先生…、橘楓の母です。」


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楓・大輔…病室。

  1. 2016/06/07(火) 05:26:10_
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「君たち…。」
政美。

「みんな…。」
何度も頷く弓枝…。掠れた声で…、
「ありがと…。」

静まり返る救急治療室の廊下。



楓の病室。いきなり陽子と朱実。
「楓、楓。」

包帯の楓を見ながら。もう声にならない陽子。
「楓…、助かったよ、楓…。」

「楓…うううう…。」
涙をボロボロと零す朱実。

片や大輔の病室。慎二、
「大、大、聞こえるか…大。」

「とにかく…生きてて良かったよ~。」
涙を拭いながら智志。

その時政美、大輔の病室から抜け出して、楓の病室へ。
ノックをして静かに中に…、
「すみません。楓ちゃん…どう…???」

「あらあら、橘樹さん…、どうぞ、どうぞ。」
迎える弓枝。
そして楓の顔を見た途端、
「えっ…!!!ガッキー…???凄い…似てる。」

「うん…、みんな…そう言う。そんな風に思った事…ないけど…。」
涙拭いながらの朱実。

「でも…大ちゃんも…、福士蒼汰に似てるって…。」
陽子…。

政美…、
「福士…蒼汰…???大輔が…???うそでしょ。…あ…、すみません。楓ちゃん、早く…良くなって…。そして…、大輔をよろしく。」
後ろに振り返って…、
「失礼しました~~。」

「どうぞ、どうぞ、いつでもどうぞ。」
にこやかに弓枝。


「ありゃ、大輔も好きになっちゃうわ。うん。」
大輔の病室に戻って政美。

「えっ???政美…。」
「お姉ぇ…、腰抜かすなよ。楓ちゃん、ガッキーにマジ似…。」

「うそ―――――っ!!!」
「ほんと…、今、見てきた。」

「へっ…、て…、政美~~あんた…、失礼な…。」


「そうそう…、楓…そんな風に言われてましたよ、良く…。」
智志。

「あっ、そう言えば…大は…誰だっけ…、え…っと…。」
慎二。

「福士蒼汰。」
智志。

「はぁ~~、大輔が…福士蒼汰~???ぷっ。…有り得ない。」
弥生。



楓・大輔…病室。


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「元のままで…、返して。」

  1. 2016/06/06(月) 07:06:23_
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「あっ…、やだ…。ついつい…。」
範子。

「おばちゃん、このお姉さんがいなかったら、楓と大ちゃん…。」
陽子。

「うん。」
朱実、慎二に智志。

「えっ…???それじゃ…。」
弓枝。

「すみません。いきなりこんな風になっちゃって…。」
4人に舌を出して、控えめの範子。
「鏡範子と申します。ここの…看護師…やってます。こっちが…まぁ…、婚約者で…こうや…。春日井康也。」

「まぁ!!!それは、それは…。今回は何と感謝すれば良いか…。」
政美に睦美、そして琢己も弥生も、範子に深くお辞儀をして…。

「このお姉さんと、お兄さんが…、全部…やってくれた…。」
朱実。

「これは、これは…、もう…言葉も出ません。ありがとうございます。」
弓枝。

「いいえ、いいえ…、偶然、事故を目撃しましたから…。放っておけなくって…。」

声も出ないように佳之。
「ありがとうございます。」

「この子たちのあれだけの声を聞いたら、もう…。」

弓枝が4人の顔を見て…。範子が続ける。
「もう…これ以上は出ない声で、助けて―――って、言ってたからね。悲鳴だったもの…。」

弓枝…目に涙を溜めて…、
「うんうん。」

「あっ、そうだ、肝心な事。轢き逃げした車の持ち主…。出頭して来ました。」

「あら…。」
弓枝。

「県外ナンバーで、白のワゴン車。居眠り運転の信号無視。20代のご夫婦だそうです。しかも…後ろには小学生の子供もふたり…、乗っていたそうで…。」

「え~~!!!」
政美。

「幸い…、速度も制限速度だったらしく…。」

「ん~~。」
佳之。

「奥さんが、ご主人に…けしかけたみたい。」
黙って話を聞いている4人。


「でも…許せない。」
きっぱり陽子。

「私たちの楓と大ちゃん、元のままで…、返して。」
朱実。

慎二と智志もコクリと…。
「うん。」



「元のままで…、返して。」


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「あっ、お姉さん。」

  1. 2016/06/05(日) 05:40:55_
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「はっ!!!先生に…電話しなきゃ。」
陽子。

「あっ!!!」
朱実、慎二、智志。

自分のバッグからスマホを取り出し陣内に電話をしようとして陽子。
その時、陽子のスマホの上に右手をかざして、弓枝。
「陽子ちゃん。」
笑顔のままで、顔を左右に振り…。

「えっ…、おば…ちゃん…???」
「その電話…、おばちゃんがしなきゃ。」

「あ……。」
「優美子先生…、今、お腹の赤ちゃん…。楓と大輔君の事で…余計…、ショックを与える訳には…。」

「あ……。」
陽子も朱実も慎二に、智志。

「みんなにも…大切な…赤ちゃんでしょ。」

「お…ば…ちゃん。」
陽子と朱実。


「…では…、私は…この辺で…。看護師が後は…、対応してくれますから…。」
その場を立ち去ろうとする桑谷医師。

「あっ、先生!!!」
そこに、範子と康也が駆け付け…。

「おぅ…鏡君、お疲れ…、ご苦労だったな、今回は…。」

「あっ、お姉さん。」
陽子。

家族にお辞儀をしながら範子と康也。
「先生…、で…ふたりは…???」
「…ん…???大丈夫だ。命に別状ない。あぁ。」

その言葉に立ったまま、腰を曲げ膝に両手を着く範子。
「良かった~~~。」

康也が範子の背中を撫でる。
「範…。」

「あ…、あの…、お姉さん…。」
陽子。

「…ん…???」
陽子の顔を見て範子。
「はは…、良かったね~~ん…。」
陽子の頭を撫でる範子。そして、子供たちを見る。
「うん。良かった、良かった。」

「じゃ、鏡君、私は…失礼するよ。」
桑谷医師。

「はい、ありがとうございました。お疲れ様です。」

いきなり朱実。
「わぁ―――――っ、お姉さ――ん。」
範子に抱き付く。

「へっ…、あははは…。良かったね~君たち~。ん~~。」
抱き付いた朱実の頭も撫でて。


「あ…、あのぉ…。」
弓枝。



「あっ、お姉さん。」


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「逞しい子供たちです。」

  1. 2016/06/04(土) 10:47:45_
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その時、手術室のドア。
「先生!!!」
家族。

慎二と智志も医師に顔を向け。
朱実と陽子も慎二と智志の胸越しから医師に振り向く。

「患者さん、お2人のご家族ですか。医師の桑谷と申します。」

「この度は…お世話になります。女の子の母親です。」
弓枝。

「いや~最初は、厳しいと思いましたよ。もう全身傷だらけですからね。しかも…意識もない。」

「…で…???」
睦美。

「しかし…、驚きました。2人とも…、逞しい子供たちです。命に別状はありません。大丈夫ですよ。」

「じゃあ…。」
佳之。

「はい。骨折すらしていない。珍しいケースです。…全身打撲はありますが…。若いんです。時間を掛けて…。」
「ありがとうございます。」
弓枝。

「臓器に問題も見受けられません。ただ…かなり頭部を強打されていますから…、脳挫傷の手術を…。意識を取り戻すには時間は…掛かりますが…。」

家族の安堵の表情。

朱実、
「慎二…。」
「うん。」

陽子も…、
「智志…。」
「ヨシ!!!」

そしてまた慎二と智志に抱き付くふたり。


「おやおや…、こちらが患者さんたちと一緒の学生さんたちですか。仲が…良いですなぁ。ちょっぴり…妬けますか…はっはっは。…あ…、いや…失礼。」

「おばちゃん。」
陽子。

「うん。良かった。良かった。…逆に…あなたたちがいてくれて良かったよ。おばちゃん、お礼言わなきゃ。」
弓枝。

「そうですねぇ。大輔も…こんな素敵な友達…、そして…楓さん。橘さん…、これからもよろしくお願いします。」
そう言って弓枝と佳之にお辞儀をする睦美。

「あっ、いや…、とんでもない。私共の楓こそ、大輔君にご迷惑ばかり、掛けると思いますが…。」


「えっ…???…て、事は、大輔と楓ちゃん、両親公認…???」
政美。
「わっ、凄い。」

「この子たち見てれば…、ねぇ。それに…先生たちの結婚式の事もあるし…。」
弓枝。



「逞しい子供たちです。」


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もはや限界…。

  1. 2016/06/03(金) 05:45:08_
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「お姉ぇ…、大輔が…。」
とうとう政美も泣き声になり、弥生に抱き付く。

「うん。私も報せを聞いてびっくりして…。父さんに電話したら、もう向かってるって…。病院の前で一緒になって…。…で、大輔は…???」

首を横に振る政美。

「どうして…また、こんな事に…???」

「轢き逃げ…。」
朱実と陽子。

「うん、そう…、轢き逃げ。」
慎二と智志。

「轢き逃げ…!!!」
家族たち。

「楓と大ちゃん…、何にも悪くない。それどころか…おばあちゃん…、助けたのに…。」
涙流しながら陽子。

「横断歩道の途中で、車椅子に乗ったおばあちゃん、道路の凹みみたいなのに車輪が嵌って動けなくなってたの。」
「……。」

「たまたま偶然それを見掛けた楓が…、大ちゃんと一緒に車輪を凹みから出してあげたの…。」
「……。」

「そこに白いワゴン車みたいな車が…いきなり楓と大ちゃんを…。…あんなの…逃げられないよ。」
「…と、言う事は、そのまま逃げた…。」
政美。

「うん…。私たちが楓と大ちゃんに駆け付けた時にはもう…交差点、別の方向に…逃げてった。」
そこまで話して陽子。いきなり、
「わぁ―――――っ、私もう駄目だよ、智志――――っ!!!」

そう言って智志に駆け寄り抱き付く陽子。
泣きながら、そして…、かなり震えながら…。

それを見た朱実も…、もはや限界のように、静かに慎二に歩み寄り、
「慎二―――――っ!!!わぁ――――っ!!!」

楓の家族と大輔の家族…。
「えっ…、あなたたち…。もしかして…???」

「あらま…。」
弓枝。

「そういう事…。」
政美。

「だか…ら…、楓と大輔君。…そう…言えば…。」
「はは…、大輔…スマホに楓ちゃんの名前…。」

「えっ…、政美…、んじゃ…大輔の彼女って…、その…楓ちゃん…???」
弥生。

「…ん…。そういう事…。」
「わっ。」



もはや限界…。


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「俺たち、このままじゃ帰れない。」

  1. 2016/06/02(木) 05:15:15_
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「た…ち…ばな…さん…???…じゃ…、大輔君の…???これは、これは私…、橘楓の母の弓枝と申します。初めまして…。」
「あっ…、じゃ…大輔と一緒に事故に遭った…の…、楓ちゃん…???初めまして、大輔の姉の政美です。こっちが母の…睦美です。」

「えっ…、楓を…ご存知…???」
「えっ…???えぇ~まぁ…、お会いした事はないんですけど…、大輔から話は…。」
少し控えめの政美。

「…で、お宅さんも…大輔の事を…???」
今度は睦美。

「…えぇ…。はい…。私も…楓から話は…。まだ、私どもも…お会いした事は…。えぇ。」
「…で、楓ちゃんの方は…???」
政美。

「えぇ…、この子たちの話では、まだ…分からないと…。」
陽子と朱実に、弓枝…、
「大輔君も…。」

ふたりで…頭をコクリとさせて…。

「でも…みんな…、無事で良かったわ。」
睦美。

「もう…出掛けるまで、楽しみで、楽しみで出て行ったのに…。」
「えぇ…、楓も…同じです。みんな…自宅には連絡…???」

4人、コクリと頭を下げ…、
「俺たち、このままじゃ帰れない。」
慎二。

「うん。」
朱実、陽子、そして智志。

そしてまた泣き始める朱実。
そんな朱実を抱き締めて一緒に泣く陽子。

「朱ちゃん、陽子ちゃん…。」
弓枝…。そしてまた弓枝に寄り添う朱実と陽子。
「うんうん、ありがとね、ふたり共…。」

「大…。」
目を真っ赤にして涙を拭う慎二。

「ちっくしょ~~。」
智志。

「ありがとう…君たち…。大輔…。」
ハンカチで目を押さえながら、そして鼻を押さえながら、政美。

そうこうしている内に、1人の男性と大学生らしき女性が共に…。

「お父さん。お姉ぇ。」
政美。
大輔の父親、橘樹琢己である。
そしてもう一人の女性が政美の姉の橘樹弥生である。



「俺たち、このままじゃ帰れない。」


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三浦海岸、鴻南病院。

  1. 2016/06/01(水) 06:11:07_
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リビングの電話が鳴る。
「ん…???楓か、今から帰るって電話…???」
弓枝が電話に出る。

「はい、橘です。」
見覚えのない声…。
「はい…楓は私の子供…。……えっ!!!!!」

電話の向こう…、
「奥さん、奥さん…。」
「……。」

いきなり意識が遠ざかる弓枝…、懸命に…取り戻そうと…。
「…で、で…、楓は今…???…あっ、はい、三浦…海岸の鴻南病院…。はい。」
そう言って電話を切る弓枝。

突然の知らせに蒼白い顔のままで…、
「お父さん、お父さん、お父さん、お父さん、お父さ――――んっ!!!!」


そしてこちらも、夏休みの政美が電話を取る。
「はい、橘樹です。はい…???救急…た…???ええ…、大輔は私の…おとう…。え゛―――――っ!!!!母さん、母さん、母さん。大輔が…。」
最後は泣き声で政美。

「どうしたのよ、電話…誰から…???」
睦美。

一気に涙声になって政美。
「大…輔が…、交通事故で意識不明…。」

電話の声…、
「もしもし…、もしもし…。」

「あっはい、大輔の母ですが…。大輔が…交通事故って…???」
額に右手を当てて睦美。
「あっはい、三浦海岸、鴻南病院。…んん…。あっはい。すぐに向かいます。」


2時間後…、
「あ―――――、おばちゃ―――――ん。楓が…、楓が…、わぁ―――――っ!!!」

弓枝に抱き付く朱実と陽子。
「まぁ…二人とも…、うんうん…。…で、楓は…まだ…???」

「まだ…救急室から…。」
智志。

「うんうん、智志君に慎二君。みんな…怪我はないの…、大丈夫なの…???」

「まだ…何も…分からない。」
慎二。

「そうか…、まだか…。」
佳之。

「おじちゃん。」
泣きながら朱実。

「うんうん、みんな、無事で良かった。」

「すみ…ません。橘樹…ですけど…。」
突然政美。

「あっ…、大ちゃんの…お姉さん…。」
陽子。



三浦海岸、鴻南病院。


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